クロコアートファクトリー クロコのロートアイアン CROCOs Wrought iron

ロートアイアンにおける工法としては多種多様な技法が存在していますが、現在においては大量生産のため、機械化が進み、本来のロートアイアンと呼ばれる鍛金手工芸からやや外れた工法で産み出されている製品が、大量に出回っているのが現状です。
ここでは伝統的に行われている本来のロートアイアン工法に限定し、ご説明いたします。

ロートアイアンの製作

ロートアイアンの製作行程としては、まず鉄素材を加熱し、素材が変形可能な温度を作り出さなくてはいけません。それは「赤熱状態」から「溶解温度以下」の、素材が赤く柔らかくなる状態です。

その温度は約1000度から1350度とされていて、その温度の範囲において、鉄は変形可能なフォーミング特性がありますので、アンビル、ハンマー、ハシ等を用いて「たたき」「のばし」「まげ」「ねじり」「すえ込み(圧縮)」などの技法で、その目的の形にしていきます。

また、フォーミング時間は短時間なためエアハンマーを使用したり、油圧プレスや様々な治具等を用いてより効果的に製作できるよう、工夫をしております。

鉄を熱する熱源としてはコークスが一般的ですが、コークスにも「コークス」「ピッチコークス」の2種類があり、目的に応じて使用しています。
やや低い温度を保つLPガス式のガス釜は単純作業を繰り返すのに適しています。

ロートアイアンの材質

一般的にロートアイアンの材質としては、「純鉄」と呼ばれているものが使用されています。

「純鉄」とは炭素の含有量が鉄の中でも少ないもので、鍛鉄手工芸に大変適しており、ロートアイアンの基本的な造作の技法である「たたき」「のばし」「ねじり」「圧縮」などに対応し、複雑な唐草模様などを製作する時にその特性が十分に発揮されます。

加えて、造作行程いおいて何度も繰り返される加熱(溶解温度以下での加熱)に対し、優れた柔軟性を維持する特性を持っています。

現在、一般的に販売されている鋼材は炭素の含有量が高く、ロートアイアンの素材として使用できないことはないのですが、用途、目的が限定されるため、クロコアートファクトリーでは純鉄として様々なサイズバリエーションのあるイタリア製のものを使用する頻度が高いのが現状です。

ロートアイアンの技法

素材と素材の接合には、「鍛接」「かしめ」「リベットどめ」「焼きばめ」「ピアス」「溶接」などがありますが、現代工法においては「アーク溶接」「半自動溶接」「アルゴンガス溶接」が主となっています。

その中でもアルゴン溶接は、繊細な溶接が可能であるため、クロコアートファクトリーでは最も多く使用しています。

ただし、クラシックなロートアイアンでは本来、溶接技術がない時代に製作されていたこともあり、クラシックテイストを重視する場合は、溶接技術は補助的な役割として使用しています。

最後にロートアイアンの仕上げにおける表面処理につきましては、本来鉄の一番の弱点である錆び対策という一面と、ロートアイアンが持つ素材感を両立するため、目的に応じた処理をしています。

まず室内において錆びの心配が少ないところは、素材感を生かす為に「ロウ引き」「ウレタン塗装」または「生地そのまま」という場合もあります。
野外において使用される門扉等は、錆び対策として全体をメッキ加工(クロメートメッキ、ドブメッキ等)後、塗装というのが一般的です。

クロコアートファクトリーとしては特に素材感を損なわず、加えて長期間に渡り防錆力を維持するドイツ製のロートアイアン塗料を使用し、製品を維持、管理しております。

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